きのうの夕方、茨城県の大洗港からフェリーに乗って今日の昼過ぎに苫小牧港に着いた。いつもの習慣で、乗船するとすぐに酔い止め薬を飲んだ。この酔い止め薬には睡眠薬のような作用があるのか、小一時間で睡魔が襲ってくる。いつものパターンでは、船内のレストランで夕食を終えると、シャワーを浴びるのがやっと。半分眠りながらベッドに倒れ込み、朝まで熟睡となる。ところが、昨夜はなかなか寝付けなかった。というのは、低気圧の関係で、船がかなり揺れたからだ。船内放送で5メーターの高波なので、「歩くときやドアの開け閉めには、じゅうぶんお気をつけください」と何度も言っていたが、確かに真っ直ぐ歩いているつもりが、タタタッと端に押しやられてしまったりする。
ベッドに横になってからも、右へ左へと体の重心が移動させられる感じになったり、体が宙に浮くようになったり……。部屋の壁は絶えずギシギシ言うし、突然にダダン!とか、ドドン!とか、激しい音もして、何とも騒々しい。これって、船酔いしやすい人にとっては地獄だと思う。私は酔い止め薬のお陰で、苦しむこともなく、眠れない辛さはややあったけれど、この揺れをちょっぴり楽しんでいたのよね。
そうこうするうちに、明け方に。室内のテレビで船の現在位置を確認すると、岩手県沖を航行中。いくらか波が穏やかになってきたらしく、船も落ち着きを取り戻した。「やっと静かになったわね」と心の中で思ったとたん、睡魔に襲われて、目が醒めたら午前10時過ぎだった。窓から海原を見ると、いつもの海とは違って、三角にとがった波が続いていた。昨夜の海は漆黒の闇で見えなかったのだが、きっともっと荒々しい波だったのだろう。
苫小牧港に着岸し、下船すると思いの外寒くはなかった。それでもこの季節の天候は変わりやすい。ニセコまでの道のりは山越えなどもあるので、どこにも寄らずに一路ニセコへと車を走らせた。苫小牧・ニセコ間は約100キロメートルあって、途中、支笏湖を右手に眺めながらの山道が続く。今日は、予想どおりで、山道に入ると天候はどんどん怪しくなり、まだ午後の3時だというのに夕方のような暗さ。おまけに雨まで降り出し、ヘッドライトなしでは危ないといった状況になった。
それでも山道をやや下ったところに道の駅「フォレスト276」という巨大なログハウスがあるので、ここで一休み。ここの「売り」はなんといっても「1億円のトイレ」があることだ。まさに「1億円のトイレ」という大きな看板まであるので、これが自慢なのだと思う。確かに、お化粧室の入り口にはステージがあり、そこにグランドピアノが置かれ、自動演奏されている。さて、中に入ると……。最近は、あちこちのお化粧室が綺麗になったせいか、それほど感激とまではいかないが……。でも、このトイレが建設されたのは15年以上も前だから、当時はそれは見事だったに違いない。
ニセコへは午後の6時ごろ到着。ラジオの天気予報では、明日あたりからシベリア寒気団が南下してくるので、本格的な雪の恐れもあるという。もしも、買い物へも出られない状況になったら大変なので、家に着く前にスーパーへ直行。4日分くらいの食料をたっぷりと買い込んだ。
まあ、こんな具合でニセコの第一日目がスタート。できるだけ面白い発見をして、楽しい日記にしていけたら嬉しい。