CDをたくさん持っている人は多いと思うが、私もいつの間にか大きめの本箱が満杯になるほど増えてしまった。正確に数えたことはないが、たぶん1,000枚は超えていると思う。もちろん、長年に渡って買いためたもので、外出のたびに立ち寄るレコードショップで買ったCD、ソニーのCD倶楽部やネットで購入したものなどがある。音楽の系統はまったくポリシーはなく、けっこういろいろなジャンルにまたがっている。
でも、これだけあると、その多くは可哀想に「死蔵CD」となって、二度と聴かない存在にまでなっているものもあるのよね。この1年あまりを振り返ってみても、車で外出する際に引っ張り出していくCDは限られていて、「死蔵CD」の色彩はますます強くなりつつあった。
ところが、最近、あるものを利用するようになってから、その状況が一変した。その「あるもの」とは、今や月並みかもしれないが、言わずとしれた「iPod」のことだ。この夏に購入して、少しずつ曲をインストールし、現在約5,000曲が収まっている。7,000曲までインストールできるモデルだそうだから、まだだいぶ余裕がある。で、何が一変したかと言えば、この5,000曲を「シャッフル」という機能で再生すれば、勝手にいろいろな曲に飛んで再生してくれる。これって、街のティールームなどで次々といろいろな曲がBGMとして流されている……つまり、それと同じような楽しみ方ができることなのよね。
この「iPod」のお陰で、今は「死蔵CD」の運命にあった懐かしいCDが見事によみがえって、毎日、仕事をしながらも、車での移動の際も音楽に浸っていられる。曲をシャッフルして、アットランダムに飛んでくれるから、とにかく厭きない。アルバムで聴くと、途中で退屈になるような曲でも新鮮に聞こえるから不思議よ。
そんなわけで、「iPod」というのは、「イノベーション」という言葉がふさわしいほど、音楽好きには革命的な恩恵だと思う。一時は消えてしまうのではないかと囁かれたアップルコンピュータではあった企業。それが、あのスケルトンのマッキントッシュ以来、次々と魅力的な製品を世に問い、今や「iPod」でついに世界を制した感がある。私は、この「iPod」には大拍手を送りたいと思う。