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#003 ギガを知ってガキの鼻をあかそう

「お前、そんなこと知らないの?!」…… PCのことを訊くたびに浴びせられる屈辱的な言葉。でも、ご安心を。そんな言い方であなたを馬鹿にするようなPCユーザーこそは、実は、それほどたいしたことはない。PCの世界ではまだまだお尻の青いガキの証拠。下に示すグラフをご覧あれ。これは筆者の経験から勝手に描いてみた「PC習熟度と知ったかぶり度」の相関関係。「知ったかぶり度」が急上昇するのは、「PC習熟度」がまだ初期のころ、すなわち、お尻がとっても青いガキのころなんですね。なぜならば、PCの何たるかを知るレベルになると、PCユーザーはその世界の奥深さに圧倒され、次第に謙虚になるもの。その心は「力持ちほど心が優しい」の例えと同じである。
で、今日は、そんなガキたちを思いっきりギャフンと言わせるべく、PCの本質的な世界に足を踏み入れてみよう。表題に示した「ギガ」こと「PCの情報量」を理解することが今日の学習テーマだ。

PCの情報量を表す単位は?

長さは、「ミリ」「センチ」「メートル」「キロメートル」。時間は、「秒」「分」「時間」。重さは、「グラム」「キログラム」、速さは、「秒速△メートル」「時速△キロメートル」、容量は、「CC」「リットル」というように、計量・計測できるものにはその量を表す「単位」というものがある。

「情報」を蓄えたり、加工したりするPCにも、その「情報量」を表す単位というものがある。そのもっとも小さな情報単位は「ビット」という単位からはじまる。「ビット」の次は「バイト」という単位、その次は「キロバイト」、さらにその次は「メガバイト」、さらには「ギガバイト」という単位に拡大していく。これを単に暗記するのでは、誰だって右の耳から左の耳の抜けてしまうだけだろう。

そこで本講座ならではの具体論、誰でも簡単にイメージできるA4用紙1枚に打たれた文字や可愛い子犬の画像、さらにはフロッピーディスクという馴染みのデータ保存メディアを前記の単位に当てはめながら、PCにおける「情報量」を目に見えるかたちで勉強しよう。

ビット

これは「bit」と記す。PCの情報量を表す最小単位であることは先に述べた。専門的に説明すると話がややこしくなるので、ここでは「情報量の最小単位」とだけ憶えておこう。

バイト

これは「byte」または単純に「B」と記す。前記「ビット」との関係は、下の図のように「1ビット」が8つ集まると「1バイト」となる。すなわち、1バイト=8ビット の関係だ。

さあ、ここでPCの情報が目に見えてくる。下の図に示すように、「半角文字」と呼ばれる「ABC」のようはローマ字や「123」のような数字は、実は、1文字が1バイトからなり、「あいうえお」や「東京都」などのひらがなや漢字は「全角文字」と言って、1文字が2バイトから成り立っている。因みに、1バイト半角文字の場合、それを構成する8つのビットの組み合わせで256もの文字が表現されている。

              

さあ、ここでお立会い、A4の用紙に日本語だけでびっしり打ち込まれた文章(10.5ポイント文字で1行40文字、36行として)は何バイトあるだろうか? そう難しい計算ではない。1行40字x36行=1,440字だから、バイトに換算するには、1文字2バイト使っているので、1,440字x2バイト=2,880バイト。そう、A4用紙1枚の文章は2,880バイト。これをしっかり頭に入れておこう。後でフロッピーディスクにA4びっしりのデータが何枚保存できるのかを計算すれば、「な〜るほど」と目からウロコがポロポロ落ちはじめるだろう。

キロバイト

これは「Kilo-byte」または「KB」と記す。キロは常識的に1,000の単位だから、1キロバイトは1,000バイトを表す。1KB=1,000B(注)という関係。特に難しいことではないので、話を次へ進めたいが、キロバイトの情報量をもつデータとしては「画像」がそのレベルにあるので、下の子犬の写真の情報量を調べておこう。この画面の元となっている画像のプロパティーを見ると、7.91KBと表示された。こんなに小さな画像1枚でも文字とは大違い、7.91キロバイト=7,910バイトもあることが分かる。これもしっかり頭に入れておこう。

メガバイト

これは「Mega-byte」または「MB」と記す。メガというのは100万の単位。100万というと「大きい」というイメージから、大都市のことを「メガシティー」などという表現もあるが、PCにあっては、1メガバイト=100万バイト(注)を意味する。「もう数字が大き過ぎて、ついていけないわ」と思うだろうが、誰もが気軽に使っているフロッピーディスク(2HD)が、実は、たった1枚で1.4メガバイト、すなわち140万バイトもデータを保存できる優れものなのだ。

さあ、ここでいままで確認したA4用紙のデータと子犬の写真のデータをフロッピーに保存するとしたら、A4用紙なら何枚、画像なら何点入るだろうか? A4用紙1枚文の文字情報量は2,880バイトであったから、140万バイト÷2,880バイト=486、つまり、フロッピーディスク1枚に何とA4びっしりのデータが486枚も保存できることが判明した。長編小説一冊分のデータが楽々収まってしまう訳である。一方、子犬の写真だったらどうだろうか。子犬の写真の情報量は7,910バイトであったから、140万バイト÷7,910バイト=17.6、すなわち画像となると17.6枚しか保存できない計算となる。文字と画像とではいかに情報量に格差があるかがこれでよくわかるはず。

さて、もうひとつ具体的な例を示そう。音楽CDと同じ形態のCD−Rというデータ保存メディアがある。これは一般的に使用されているものでは、1枚に640メガバイトの情報を保存できる。ということは、フロッピーディスクなら約460枚分のデータが保存できる。A4用紙なら約22万枚、子犬の画像なら約3,800枚が保存できる。たった1枚のCD−Rにこれほどの情報が保存できるとは想像していただろうか。

ギガバイト

これは「Giga-byte」または「GB」と記す。ギガは10億の単位を表す。「10億ってゼロがいくつあるの?」と聞こえてきそうなので、念のために記してみよう。

10億=1,000,000,000

ゼロが9つ。で、実際「ギガバイト」なんて使われれいるのだろうか。それがあにはからんや、今日のPCの世界ではもはや当たり前の世界になってきた。早い話、見かけはCDと同じ形態の書き込み可能なDVDが4.7ギガバイト、すなわち47億バイトものデータ保存ができるのだ。単純計算でいくと、A4用紙なら163万1,944枚、子犬の画像なら59万4,184枚が保存できる。百科事典が収納できることも容易に想像できるだろう。

さらにもうひとつ、ギガが常識となっている情報記録装置としては、すでに「自作パソコン」の講座でも紹介した「ハードディスク」がある。80ギガが当たり前、ハイエンド機種になると160ギガ、250ギガという容量のハードディスクが内蔵されている。こうした傾向はパソコンでTV番組を観て、それをPCのハードディスクにデジタル録画するという新しいライフスタイルが普及しはじめた影響がある。TVやオーディオといった家電とPCの垣根がなくなり、相互に関連し合い、今までにはまったく考えられなかったハイテクな生活様式がもうそこまで来ている時代に我々は遭遇しているのだ。

★★★

では、冒頭の話の続編で本講座を締めくくろう。同僚のK君がS社の新しいノート型PCを買って会社に持ってきた。「ハードディスクは80ギガだぜ」……いかにも自慢気だ。「メモリーは何メガ乗せてるの?」隣の席のY嬢がすかさず訊いた。「256メガよ」……いままでチンプンカンプンだったこの二人の会話も、あなたならもう分かるし、すでに彼らの「知ったかぶり」よりあなたの方がPCの情報量に関してはより深い知識と理解を持っているはずだ。そこで、あなたは、「K君、80ギガだと何バイトあるっていうこと?」とかましてみる。「え?! だから困るんだよな、ギガとバイトはぜんぜん違うことなんだよ」「じゃあ、K君、ギガってどういうものなの?」「……、よ、よく分からないけどさ……」「たしか、ギガってバイトの大きい単位のことじゃない? ギガバイトって言うじゃない」……ハトが豆鉄砲を食らったようなK君の目つきが、不安そうに宙をさまよった。

★★★

(注)上記説明で行った各単位におけるバイト換算は読者の理解を易しくするために敢えて単純な倍数計算で示したが、実は、PCにおける計算は「0」と「1」からなる「2進法」であるために、実際のバイト計算では、1KB=1,024B,1MB=1,048,576B,1GB=1,073,741,824B となることを頭のどこかに入れておこう。

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