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#001 PCはモイラさんだって作れる

「うちの旦那、ぐうたらだと思っていたら、息子にパソコン作ってくれちゃったのよ」 S婦人はグループの会で集まった懐石料理店で突然こんな自慢話をはじめた。聞き役となった10人ほどのご婦人たちは、一様に「ヘーッ、すごいじゃない!」と目を輝かせて驚き、そんなすばらしいご主人をもったS婦人を羨ましいと思った。その後話を聞いた10人のご婦人たちは、あちこちでS婦人のご主人のすばらしさを他のご婦人たちにしゃべりまくった。かくして、S婦人のご主人はまたたく間に「コンピュータ博士」という異名まで冠せられ、「すばらしいご主人」の代名詞となった。当然、S婦人の鼻も雲の上に突き出るほど高くなった。

しかし、この話に水を差すようで申し訳ないが、実は、コンピュータは誰にでも簡単につくれるものなのだ。「え?! ほんと?!」という非難めいた疑いの声が聞こえてきそうだが、それはほんとにほんとなんです。

PC作りはプラモデル作りと五十歩百歩

デスクトップ型コンピュータのカバーを開けて中を覗いたことはありませんか? 中は意外とガランとした空間があることに気づくでしょう。それもそのはず、コンピュータ本体は次のようなパーツで構成されているに過ぎません。

1) ケース(電源ユニット付き)

ケースはコンピュータ本体に必要な各パーツを取り付けることができるように設計された単なる「箱」。小型のものから大型のものまでいろいろある。ただし各パーツの取り付けは国際規格で決められたサイズなので、基本的にはどれを使ってもかまわない。ケースの決定条件は、どれだけのパーツを組み込む予定があるのかという問題と、デザインの善し悪しだ。

2) マザーボード(プロセッサー、冷却ユニット付き)

「マザー」と名が付くことでも分かる通り、コンピュータの最重要パーツだ。別名「メインボード」とも言われており、いわばPCの心臓または頭脳部だ。写真のように、PCの基本的な電子部品がぎっしりと並んだプリント基板。これをケースの所定の場所にネジどめすればよい。マザーボードそのものを作る必要はない。いろいろな種類のものが販売されている。

3) メモリー

「メモリー不足みたい」とか「メモリーの増設をする」といった場合に指すメモリーがこれ。写真のような形態でマザーボードに差し込むことによって機能を発揮する。どういう機能かと言えば、ワードとかエクセルのようなアプリケーションを立ち上げ、いろいろな操作をする際に、アプリケーションや操作を一時的に記憶してくれる記憶素子。記憶容量とアクセススピードの差によって価格に差がある。時々モニター画面に「メモリー不足」などの表示が出て、PCの動作が鈍い場合などに増設すると、劇的にPCのスピードが改善する。いずれ本講座で詳しく解説する予定。

4) ビデオカード

画像の処理をしてくれるカード。マザーボードに差し込むことによってその機能を発揮する。モニター画面の画像の善し悪しはこのビデオカードのランクによって左右される。別名「グラフィックカード」、「ビデオボード」とも呼ばれる。

5) サウンドカード

「サウンド」と名のつく通り、コンピュータの音源を受け持つパーツ。やはりマザーボードに差し込むことによってその機能が発揮される。音の善し悪しはこのサウンドカードのランクによって左右される。別名「サウンドボード」とも呼ばれる。

6) ハードディスク

ウインドウズOSやアプリケーション・ソフトのインストール、文章や画像のデータを保存しておく記憶装置。電源を切っても記憶は保持される。ケースの所定の場所にネジどめし、マザーボードと線で結べば機能する。現在ではテレビ番組を録画したりするニーズに応えて160ギガバイト以上の大容量を持つハードディスクもある。詳細はいずれ本講座で解説する予定。

7) CD−ROMドライブ

アプリケーション・ソフトのインストールや辞書などのデータベースを利用する際に必要な装置。データ読み取りのみのドライブとデータ書き込みが可能なタイプがあり、書き込み可能なものはCD-RWドライブと言う。ケースの所定の場所に取り付けると前面がケースから顔を出すかたちとなり、CDのセットや取り出しができる。ちなみに、CDとはコンパクトディスクの通称。

8) フロッピーディスクドライブ

おなじみ3.5インチフロッピーディスクを使用するための装置。上記CD−ROMドライブと同じようにケースの所定の場所に取り付ければ、前面がケースから顔を出すかたちとなりフロッピーディスクが使用できる。しかし、3.5インチフロッピーディスクを使用しないことを前提にしたメーカー製PCが市販されるようになった昨今、将来的には不要になる可能性もある。

以上、基本的にはこの8点のパーツを所定の場所にネジで留め、各パーツを所定のケーブルでつなげばコンピュータのハードウエアは完成。オーディオのアンプ作りのように、配線をニッパーで切断したり、ヤスリを使ったり、半田づけなどをすることは一切なく、出来合いのパーツとパーツを出来合いのコネクター付きケーブルでつなげばいいだけの話なのである。もちろんDVDが使えるようにしたい場合は、上記パーツ以外にDVDドライブを加えたり、テレビが観れるようにしたい場合にはTVチューナーボードとビデオキャプチャーボードを加えれば、付加的な機能はどんどん追加できる。

あとは、バイオス(BIOS)というコンピュータの機器をコントロールする基本プログラムをセットアップすることと、オペレーションシステムであるOS(Windows)をインストールすればそれで出来上がり。実際の手順としては、手作りパソコンの解説書1冊を事前に本屋さんで購入しておき、上記のパーツ、それにOSソフトの準備ができていれば、わずか1日の作業で終わってしまうほど簡単なことなのである。冒頭に紹介したS婦人が、偶然にもこのページを見ることがないよう神に祈りたい。

しかし、だからと言って「パソコンは自作すべし」と薦めるわけではない。要は、パソコンを必要以上に難しいもの、手に負えないものという先入観をまず捨て去ることが重要だということを知っていただきたいのだ。

手作りパソコンのメリットVSデメリット

パソコンを自作するメリットとしては、ともかく安く作れるというのが以前はあった。しかし、現在はモニター付きセットで10万円を切るパソコンが一流メーカーから販売されるようになったのだから、もう経済的なメリットはあまりない。あるとすれば、使わなくなったパソコンが家にあって、モニターやケース、電源ユニット、その他なん点かのパーツがそのまま使え、ほんの一部のパーツだけを買い換えれば、以前より性能の良いパソコンを作れるという条件がある場合だろう。

もう一つは、あくまでも高性能志向で、一つ一つのパーツにもこだわり、自分好みのパソコンを作りたいという場合は、それこそ趣味の領域だから経済的メリットは無視して大いにチャレンジしてみる価値は十分ある。ただし問題は、自作のパソコンにはメーカー保証もなければ、修理を受けてくれるところも原則的にはない。ゆりかごから墓場まで、すべて自己責任となる。それさえ覚悟していれば、とても知的で楽しいDIYの世界なのである。

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