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#002 ショートカットは禁断の果実

以前、会社勤めをしていたころ、とてもチャーミングな若い女子社員が机の傍らに来て、「あの〜、パイプカットのこと教えてください」と言う。「えッ?」こちらギョッとして彼女の顔を見る。「ほら、コントロールキーと組み合わせて使う……」そこまで聞いてこちら合点。手元にあった「ショートカット一覧表」を彼女に渡して事なきを得た。

「ショートカット」とは英語で一般的に使う「近道」を意味する言葉。例えば、「畑の中を行けば近道だ 」という場合「There is a shortcut across the field.」と言えばよい。そう、それと同じ意味合いで、コンピュータの操作にも「近道」ができる「ショートカットキー」というものが用意されている。ヘアースタイルの「ショートカット」でもなければ、新社屋落成の「テープカット」でもない。ましてや冒頭の「パイプカット」でもないので、以後お間違いなく。

では、今回は「ショートカット」を徹底的に勉強しよう。「ショートカット」を知っているかいないかでは、コンピュータ操作の能率に大きな差が生じる。「でも、時間はたっぷりあるし、そんな近道なんて姑息よ」という向きもあろうが、そういうあなたも「ショートカット」の味を一度覚えたら、きっともう一度食したくなるはず。「ショートカット」は、まさに「禁断の果実」なのである。

ショートカットはどのくらい近道なのか

あなたは今、MSワードで文章を書き始めた。「パッと目が覚めた。お母さん、いま何時?」と打ったとしよう。これはこれから書こうととしている文章のタイトルなので、本文の書き出しももう一度同じ文章を使いたい。さて、この場合、あなたならどうする?

短い文章なので、もう一度同じように打ち込んでもよい。が、これがもう少し長い文章だとしたらどうだろう。明らかに二度手間だと思うと同時に、そうだ、「編集メニュー」から「すべて選択」を選んで「コピー」し、「貼り付け」を行えばよいことに気づいたはずだ。マウス依存型の「コピー&ペースト」を思い起こしたに違いない。

では、この操作手順を実際にたどってみよう。

1) キーボードから右手をマウスに移す 
2) マウスを動かしポインタをメニューバーの「編集」のところにもっていく 
3) クリックする
4) メニューから「すべて選択」を選びクリックする
5) 再びメニューバーの「編集」にポインタを合わせ、クリックする
6) メニューから「コピー」を選びクリックする
7) マウスを使って貼り付けたいところにカーソルを持っていく
8) 再びメニューバーの「編集」にポインタを戻しクリックする
9) メニューの中から「貼り付け」を選びクリックする

以上のように9ストローク要した。では、これと同じことを「ショートカット」で試してみよう。

1)「コントロールキー」と「A」を同時に押す (全部選択のショートカット)
2)「コントロールキー」と「C」を同時に押す (コピーのショートカット)
3)「エンターキー」、「矢印キー」、「スペースキー」などを使って貼り付けたいところにカーソルを移動
4)「コントロールキー」と「V」を同時に押す (貼り付けのショートカット)

どうだろう、わずか4ストロークで同じ作業が完了した。時間を計ってみたら前者の場合は約30秒、後者のショートカットの場合は約10秒で済んだ。これが長時間のワープロ作業の中で繰り返されたらどれだけの差がつくか容易に想像できるだろう。

厳選ショートカット

前記のような「コピー&ペースト(コピペ)のショートカットなんて常識よ」とブーイングが起こりそう。だが、ちょっと待って欲しい。以下に実用的なショートカットを厳選したので、あなたがすでに活用しているショートカットはいくつあるか確認して欲しい。各ショートカットの頭にチェックボックスを設けたので、チェックを入れてみよう。もし、チェックがつかないショートカットがあれば、今日からぜひ自分のものにして、一日も早くすべてのショートカットにチェックが入るよう練習しよう。習慣とは恐ろしいもので、ついマウスに手が伸びてしまうだろうが、そこをグッと我慢してショートカットを実際に使い、それを習慣化することが大切。

ここでワンポイント・アドバイス。「ショートカットはキーを同時に押す」と解説書などによく書いてあるが、指をこわばらせまったく同時に押す必要はない。「Ctrl」+「A」だったら、左小指で「Ctrl」キーを先に押したまま薬指で「A」を押せばよい。その逆の「A]+「Ctrl」はショートカットの意味をなさないのでご注意。

「Ctrl」+「A」

開いている画面全体を選択したいときに使う最もポピュラーなショートカットのひとつ。ワードなら文章全体、エクセルならそのページ全体、画像が含まれていれば、その画像も選択される。

「Ctrl」+「C」

選択された文章や画像をコピーする最もポピュラーなショートカットのひとつ。「Ctrl」+「A」の全体選択やマウスによる部分選択と組み合わせて使う。

「Ctrl」+「X」

「Ctrl」+「C」のコピーとは異なり、選択部分を他の場所に移す場合の「切り取り」のショートカット。これも頻繁に使うポピュラーなショートカットのひとつ。

「Ctrl」+「V」

コピーした文章や画像、または切り取った文章や画像を好きな場所に「貼り付ける」ためのショートカット。前記の「Ctrl」+「A」や「Ctrl」+「X」と組み合わせて使うポピュラーなショートカットのひとつ。

「Ctrl」+「S」

現在の作業状態を保存する最も頻繁に使うショートカット。。ワードでもエクセルでも文字やデータを少しでも入力したら、すぐに「Ctrl」+「S」を実行しよう。せっかく打ち込んだ文字やデータがPCのトラブルで飛んでしまった経験は誰にでもあるはず。ところが「のど元過ぎれば……」で、つい「保存」をし忘れるもの。だから、常に保存、保存と心に言い聞かせ、このショートカットを繰り返し実行することを習慣づけよう。「備えあれば憂い無し」なのである。

「Ctrl」+「Z」

「アッ、いけない。消しちゃった!」うっかり必要な部分まで削除してしまったり、操作を間違えて画面のレイアウトがガタガタに崩れってしまうことがある。でもご安心を。「Ctrl」+「Z」を押せば、ひとつ前の状態に戻ってくれる。うっかりミスの救世主的なショートカットである。

「Ctrl」+「P」

これはモニターに表示されているページを印刷したい時に使用するショートカット。「印刷」の条件を指定する画面が現れるので、そのままで良ければ「Enter」キーを押せばプリントが始まってくれる。もし、画面の一部を印刷したい場合は、ショートカットを実行する前に、印刷したい範囲をマウスで選択しておき、印刷設定画面で「選択した部分」にチェックを入れてから「Enter」キーを押せばよい。

「Ctrl」+「W」

開いているフォルダやアプリケーションの「ウインドウを閉じる」る場合のショートカット。文章やデータが変更されている場合は「……は変更されています。保存しますか?」という確認画面が出るので、保存の場合は「Y」キーを、保存しない場合は「N」キーを押せばよい。

「Alt」+「Tab」

これは複数のアプリケーション、例えばMSワードとエクセルを同時に立ち上げていて、ワードを使ったりエクセルを使ったり、交互にいくつものアプリケーションを切り替える場合、とても便利なショートカット。いままで画面の一番下のタスクバーにあるアプリケーションボタンをいちいちマウスでクリックしていたならば、今日からはこの「Alt」+「Tab」を使ってみよう。なお「Alt」は解説書などでは一般に「アルト」または「オルト」とカタカナ表記されているが、英語の「alternate」(交互に〜する)を省略表記したもの。

「Alt」+「F4」

「Ctrl」+「W」が「開いているウインドウを閉じる」であったのに対して、「Alt」+「F4」は「フォルダを閉じて、アプリケーション・プログラムそのものを終了させる」ことができる。この場合も、文章やデータが変更されていれば「……は変更されています。保存しますか?」という確認画面が出るので、保存の場合は「Y」キーを、保存しない場合は「N」キーを押せばよい。

「Shift」+「矢印キー」

文字列などを選択する際、マウスで左クリックしながら選択したい部分をドラッグするが、この「Shift」+「矢印キー」を憶えておくと便利なことが多い。特に、文字のポイント数が小さくマウスでは選択しずらい時など、選択したい文字列の頭か最後にカーソルを置いて、「→」か「←」の矢印を押すごとに一文字ずつ選択範囲が広がってくれるので、正確な選択が可能となる。

「Shift」+「Delete」

不要になったファイルを削除すると、一般のファイルは「ごみ箱」に移動される。あるいは、アウトルック・エクスプレスのメールファイルを削除すると「削除済みアイテム」に移動される。したがって、完全に削除したい場合は、さらに「ゴミ箱を空にする」という操作を追加しなければならない。ところが、この「Shift」+「Delete」を使うと、不要ファイルは「ゴミ箱」や「削除済みアイテム」に保管されずに削除されてしまう。もちろん、「これらのファイル(メッセージ)を完全に削除して良いか?」という問いかけの確認画面が出るので、OKなら「Y」を、NOなら「N」を押せばよい。しかし、大変便利ではあるが、万が一削除したくないファイルであった場合は、特別な復元ソフトがないと元に戻らないので、使用にあたっては慎重を要する。

「Windows」+「M」

ウインドウズの旗がたなびく絵柄のマークが付いたキーを「ウインドウズ・キー」というが、このキーを押しながら「M」を押すと、開いているアプリケーションが最小化され、デスクトップが現れる。どんな時に便利かといえば、作業の途中でデスクトップにある他のショートカットアイコンにアクセスしたいときなどである。この最小化されたアプリケーションは「Windows」+「Shift」+「M」で元の画面いっぱいのサイズに復活する。したがって、「Windows」+「M」と「Windows」+「Shift」+「M」はセットで憶えておこう。なお、デスクトップを表示するショートカットとしては「Windows」+「D」も有効。

「Windows」+「E」

3.5インチドライブ、ハードディスク、CD−ROMドライブ、ファイル、ネットワークなど、自分のPCの構成全体が把握できる「マイコンピュータ」の画面を見たいときに便利なショートカット。

「Windows」+「F」

ファイルまたはフォルダを検索する場合の「検索」画面を呼び出すためのショートカット。マウスを使って「スタート」から「検索」に進み、「ファイルやフォルダ」と辿って「検索」画面を呼び出すよりはるかに素早い操作ができる。「検索!」と思ったら「Windows」+「F」が直感的に実行できるよう練習しておこう。

「Windows」(押して離す)

「Windows」キーを押して離すと、「スタート」メニューが立ち上がる。ここから様々な項目へアクセスできる。(Windows98)


「P」を押すと「プログラム一覧」へ

「A」を押すと「お気に入り一覧」へ

「D」を押すと「最近使ったファイル一覧」へ

「S」を押すと「設定メニュー一覧」へ

「H」を押すと「ヘルプ」へ

万が一の時のためのショートカット

これはめったにあることではないが、何かの拍子にモニター画面が真っ黒になって何の操作もできない状態に陥ることがある。こうなると「闇夜のカラス」状態で為すすべがない。そこで登場するのが次のショートカット。コンピュータを「終了」させたい場合と「再起動」させたい場合、以下の通りに実行すれば、キーボード操作だけで深刻なトラブルから脱出できる。画面が真っ暗になっていないノーマルな状態で一度テストし、確認しておくことがかんじん。

ウインドウズを終了させる

Windows98の場合 WindowsXPの場合

「Windows」を押して離す
「Shift」+「U」
「S」
「Enter」

「Windows」を押して離す
「Shift」+「U」
「U」

ウインドウズを再起動させる

Windows98の場合 WindowsXPの場合

「Windows」を押して離す
「Shift」+「U」
「R」
「Enter」

「Windows」を押して離す
「Shift」+「U」
「R」

以上で、メジャーなショートカットはおおかた紹介できた。これだけ自由に使いこなせるようになれば、もうかなりの上級者だ。頑張っていこう!

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