久々に時間的にゆとりがあったので、夕方になって少し読書をした。10日以上前だったかしら、読書家の友人が「面白かったからぜひ読んでみて」と郵送してくれた本があって、それがそのままになっていた。宮部みゆき著「龍は眠る」(新潮文庫)で、まだ100ページくらいしか読んでいないが、けっこう面白い。主人公が暴風雨の中で超能力がある少年と出会うところから話がスタートしている。話がどう展開していくのか楽しみよ。
実はこの本が届いたときに私は「えっ!? また龍?」とちょっとビックリした。というのは、仕事の参考文献として「龍の棲(す)む日本」(黒田日出男著 岩波新書)をちょうど読み返していた最中だったのよね。これもひとつのシンクロニシティかな?
ところで、私はある時期から不思議に「龍」づいてきている。その始まりは「龍」に興味を持ったからではない。「龍」のほうから近づいてきた気がするのよね。私は1992年にニセコ(北海道)にセカンドハウスを建てたが、その際も不思議なことがあった。家を建て終わって間もなく、東京からわざわざニセコまでお祝いに来てくださった方々がいる。その中に占いで有名なマドモアゼル・愛さんがいらした。その愛さんがこうおっしゃったのだ。
「モイラさん、お宅の地形は素晴らしいですよ、龍が棲んでいる。龍に守られているんですよ」
当時の私は、何のことやら分からず、眼をパチクリしてしまった。すると愛さんは、丁寧に説明してくださった。ただ、それは話が長くなりすぎるので、省略する。愛さんはまた、こんなこともおっしゃった。
「モイラさん、地鎮祭のときはどうでした?」
「それがその日の朝、晴れていたのに、地鎮祭が始まる時間になったら、急に空が黒雲に覆われて、ザーッと雨が降り出したんです。そして、地鎮祭が終わったらまた、晴れてしまって……何か不思議だったんですよね」
「やっぱりね、龍神が降りたんですよ! きっと幸運が訪れますよ」
そのときの愛さんのお話は「龍の棲む日本」などを読んでみるとよく理解できる。そもそも龍に対する信仰は中国から伝わってきたもの。弥生時代には土器に龍の姿が彫り込まれたりしたが、平安時代になってから日本独自の龍信仰へと発展していった。日本にはいたるところに龍が棲む聖地があり、龍に守られていると信じられるようになったのだ。
日本のあちこちに「龍」の名が付く場所があるのは、実際に龍が棲んでいると思われていたため。中世の日本には龍の目撃談も多かった。空が黒雲で覆われるのは龍神が現れた証拠だと人々は思い、その空に龍の姿を発見したという。龍は雨の神としても信仰され、日照りのときの雨乞いの儀式も、大雨の際に止雨を願う儀式も、この龍神に祈願した。雨乞いの儀式には龍が棲むとされる滝や泉の水が使われたそうだ。
ニセコの家に関しては、こんな「龍」に関する出来事もあった。建築をしている最中、鋳物でできた暖炉の扉が、注文した物とは違うものが取り付けられていたのよね。でも、その扉の模様がなかなかいいので、これも縁だと、取り換えずにそのままにすることにした。そして後日、扉の複雑な模様をよく見てみると、何とその模様はドラゴン(龍)だった。暖炉は北欧ノルウェーのものだが、ヨーロッパにもドラゴンの伝説はあるので、決しておかしなことではないのよね。キリスト教においては、ドラゴンは悪魔とされているが、民間信仰では違う。ドラゴンは力の象徴であり、勝利をもたらすものとして、また、リンゴの樹や羊皮を守るものとして信じられてきたのだ。
こうしてみると、「龍」ってすごく興味深い! これを機会に「世界の龍」に関して、もっと研究を深めてみたいと思う。